ペット遺体へのドライアイスの置き方・量・交換頻度|猫〜大型犬
最終更新日:2026年7月23日(内容を全面的に見直しました)
大切な家族を見送る準備のなかで、最初に向き合うことになるのがご遺体の冷却です。先に結論をお伝えします。ドライアイスは新聞紙とタオルで包み、お腹(下腹部)を中心に背中側と挟み込むように置くのが基本。必要量は1〜2日あたり、猫・小型犬で5kg前後、中型犬で10kg前後が目安です。
マイナス78.5℃のドライアイスは、正しく使えば火葬の日まできれいなお姿を保ってくれる、いちばん頼れる冷却材です。ただし素手で触れば数秒で凍傷になりますし、締め切った部屋では体調を崩す危険もある。量・置き方・包み方・交換・入手・安全の6点を、この記事で順番に確認していきましょう。読みながらそのまま手を動かせるようにまとめています。
まず60秒で確認|量・置き方・交換の早見表
お急ぎの方のために、要点を先に表へまとめました。細かい理由と手順は、このあとの各章で説明します。
| 項目 | 結論 |
|---|---|
| 必要量(1〜2日) | 猫・小型犬 5kg前後/中型犬 10kg前後/大型犬 10kg以上 |
| 置く場所 | お腹(下腹部)を中心に、背中側と挟む。頭のまわりに小さめを1個 |
| 包み方 | 新聞紙で包んでからタオルを巻く(体に直接当てない) |
| 補充の目安 | 1〜2日に1回。白い霜が消えて小さくなったら合図 |
| 入手先 | 氷屋・製氷店(1kg 500〜800円)/葬儀社/ネット通販 |
| 安全の3原則 | 素手で触らない・部屋を締め切らない・密閉容器に入れない |

ひとつだけ先に補足を。ドライアイスとは、二酸化炭素を約マイナス79℃で固めたものです。氷と違って溶けても水にならず、そのまま気体に変わります(昇華)。ご遺体やタオルを濡らさずに強力に冷やせる——これが、ご安置でドライアイスが選ばれ続ける理由です。
ペットの体格別|ドライアイスの必要量
必要量の目安は、1〜2日あたり小型(体重10kg未満)で5kg前後、中型(10〜20kg)で10kg前後、大型(20kg以上)で10kg以上です。安置が3日を超える場合は、減った分を同じペースで買い足していきます。
| 体格 | 該当するペットの例 | 1〜2日の目安量 | 店頭価格の目安 |
|---|---|---|---|
| 小型(10kg未満) | 猫・チワワ・トイプードル・うさぎ | 5kg前後(超小型は3kg程度から) | 1,500〜4,000円 |
| 中型(10〜20kg) | 柴犬・コーギー・ビーグル | 10kg前後 | 3,500〜8,000円 |
| 大型(20kg以上) | ゴールデンレトリバー・ラブラドール | 10kg以上 | 5,000円〜 |
具体例でイメージしてみましょう。体重4kgの猫を3日間安置するなら、初日に5kg、2日目の夕方に3kgを追加して計8kg。店頭価格なら総額4,000〜6,400円ほどです。体重25kgの大型犬を夏に5日間となると、初日10kg+2日おきに10kgで計30kg前後を見込みます。「安置日数÷2×体格別の目安量」でざっくり計算できると覚えておくと、買い出しの回数を組み立てやすくなります。
迷ったら「少し多いかな」と感じる量を選んでください。ドライアイスは保管中も昇華で減り続けるため、困るのはいつも足りないときです。余った分の処分方法は安全の章で説明しますが、手間はかかりません。
買うときの形は、粒状(ペレット)より板状・ブロック状を。粒は表面積が大きいぶん減りが早く、安置には向きません。氷屋さんで「ペットの安置に使う」と用途を伝えると、扱いやすい大きさに切ってくれる店もあります。
夏と冬で必要量は変わる
同じ体格でも、室温が違えば減り方はまったく別物です。夏場(室温25℃以上)は表の1.5倍を見込み、補充も1日1回ペースに。暖房を切った冬の部屋(15℃以下)なら、表の量で2日近くもつことが多い、というのが実感です。
エアコンは遠慮なく使ってください。室温を下げた分だけドライアイスは長もちし、結果として費用も抑えられます。安置する部屋は季節を問わず「人が肌寒い」と感じる温度が理想。直射日光の当たる場所や、熱のこもりやすい南向きの部屋は避けましょう。
正しく使えば何日安置できるか
ドライアイスを切らさず当て続けた場合、夏場で4〜7日、冬場で1週間〜10日程度の安置が一般的な目安です。「5日後の火葬まで保たせたい」というご相談をよくいただきますが、量と補充さえ守れば十分に間に合います。発泡スチロールや棺などの箱に入れた状態なら保冷が2日程度は安定して続くため、箱の有無でも日数の余裕は変わります。逆に、途中で切らすとそこから一気に傷みが進む。日数が読めないときほど、補充の段取りを先に組んでおいてください。
ドライアイスの置き方・当て方|お腹を中心に「挟んで」冷やす

置く場所の優先順位は①お腹(下腹部)、②背中側、③頭のまわりです。ご遺体の変化は胃や腸のある内臓部分から始まるため、お腹を最優先で冷やし、背中側からも挟んで体の中心部の温度を下げます。手足が硬くなっていても(死後硬直)、無理に姿勢を変える必要はありません。硬直した状態のままで、当て方は変わらないからです。
当て始める前に、ひと手間だけかけてください。ご遺体の下に厚手のタオルかペットシーツを敷いておきます。ドライアイス自体は水になりませんが、冷やされた周囲の空気中の水分が結露として溜まるためです。敷物があれば、寝床を濡らさずに最後まで清潔に保てます。
当て方の手順(8ステップ)
- 窓を少し開けて換気し、乾いた軍手をはめる
- ドライアイスを新聞紙で包み、上からタオルを巻く(包み方は次章で詳しく)
- ご遺体をタオルや毛布の上に、横向きに寝かせる
- 包んだドライアイスを下腹部に沿わせて置く
- 背中側にも同じように当て、お腹と挟み込む形にする
- 首の後ろ〜後頭部に、小さめの塊をひとつ添える
- ご遺体ごと大きめのバスタオルでふんわり覆い、冷気を閉じ込める
- 棺・発泡スチロール・段ボールなどの箱があれば、その中に安置する
文字にすると簡単に見えますが、実際にやってみると「どこまで体に近づけていいのか」で手が止まります。答えは、包んだ状態なら体に軽く触れる位置まで寄せてよい、です。布越しの冷気で包むイメージで、逆に隙間を空けすぎると効きません。
もうひとつ覚えておきたいのが冷気の性質です。冷気は上から下へ沈むため、理屈のうえでは体の上側に置くのがいちばん効率的。ただし大きな塊を直接乗せると、重みでお姿が崩れることがあります。大きな塊は体の脇に沿わせ、上に乗せるのは小さめの塊だけ。この使い分けで、冷却効率と安らかなお姿を両立できます。
お腹(下腹部):最優先で冷やす
体の中でもっとも変化が早いのがお腹まわりです。横向きに寝かせたご遺体の下腹部に、包んだドライアイスをぴったり沿わせてください。おなかの張りが気になるときも、押したりさすったりはせず、冷却を強めることで対応します。
背中:挟み込んで中心部まで届かせる
お腹側だけでは片面しか冷えません。背中側にも当ててサンドイッチ状にすると、冷えが体の中心まで届きます。腰から肩甲骨のあたりまでを覆う置き方が理想です。塊がひとつしか用意できない場合は、お腹側を優先してください。
頭:お顔には触れさせない
頭部も傷みやすい部位ですが、お顔に直接近づけるのは避けてください。凍った面が頬やまぶたに触れると、被毛が張り付いたり、皮膚の色が変わったりすることがあります。首の後ろから後頭部にかけて、包んだ小さめの塊をそっと添える。それで十分です。お顔は、最後の瞬間まできれいに残したい場所ですから。
猫・小型犬と大型犬では当て方を変える
猫や小型犬は、1日分の3〜5kgを大きな塊ひとつにせず、1〜2kgの小さな塊を2〜3個に分けるほうが安定します。お腹・背中・頭に1個ずつ。体が小さいぶん冷えは早く回るので、量を積むより配置を優先してください。
大型犬は冷やすべき体積が大きく、逆の発想になります。5kg級の塊をお腹側と背中側に1個ずつ、頭に小さめを1個。夏場に不安が残るなら、胸のあたりへもう1個足します。当てる場所の考え方は同じで、数を増やして面でカバーするのがコツです。
タオル・新聞紙での包み方|直接当ててはいけない理由
包み方の正解は「新聞紙で包んでから、タオルを巻く」二重包みです。体に直接当てると、接した部分の被毛が凍り付いて取れなくなったり、皮膚が黒っぽく変色したりします。低温やけどと同じ現象が、ご遺体にも起きるのです。
- 新聞紙2〜3枚でドライアイスを包む(昇華を穏やかにするクッションの役割)
- その上からフェイスタオルを巻き、テープか輪ゴムで軽く留める
- 結露で湿ってきたタオルは、乾いたものに取り替える
注意したいのは「包みすぎ」です。厚手の毛布でぐるぐる巻きにすると、ドライアイスは減らない代わりに冷気も伝わりません。ご相談を受けるなかでも「全然減らないのに、体が冷えていない気がする」というケースは珍しくないのです。包みの上限はバスタオル1枚程度。素肌に触れさせない最小限の包みが、冷やす力と安全のバランス点です。
それからもうひとつ。ビニール袋での密封は絶対に避けてください。気化した二酸化炭素の逃げ場がなくなり、袋が膨らんで破裂することがあります。
交換のタイミング|白い霜が消えて小さくなったら合図
補充の目安は1〜2日に1回。表面の白い霜が消えて塊がひとまわり小さくなっていたら、冷却力が落ちているサインです。
ドライアイスは水にならないので、保冷剤のような「交換」ではなく「継ぎ足し」になります。残った塊はそのままに、新しい塊を追加してください。チェックは朝と夜の1日2回。軍手をはめて包みの上から触れ、冷たさがゆるんでいないかを確かめます。
効いているかどうかは、ご遺体のほうに軽く触れて確かめるのが確実です。体表がひんやりしていれば冷却は届いています。常温に近いと感じたら、量を増やす前に配置を見直してください。体との間に隙間ができているか、包みが厚すぎるか——原因はたいていこのどちらかです。
- むき出しの状態だと、室温では数時間単位で目に見えて減っていく
- タオルで包んで箱に入れた状態でも、1日でおおむね1〜2割は気化する
- 夏場は減りがさらに早い。「明日の分」は当日の夕方までに手配しておく
もし夜中に切らしてしまっても、慌てなくて大丈夫です。冷凍庫の保冷剤をタオルで包んでお腹に当て、エアコンを最低温度にして朝を待ちます。翌朝いちばんに氷屋さんへ電話すれば、空白は数時間で埋められます。一晩の不足で取り返しがつかなくなるものではありません。
正直なところ、ドライアイス安置でいちばんの負担がこの補充です。夜中に切れても氷屋さんは開いていませんし、夏場は買い足しに追われて、そばに座る時間が削られていきます。お別れまで日数がかかりそうな場合は、ドライアイスを使わずに安置できるペルチェ式冷却のレンタル装置「メモリアルキャリー」のような方法もあります。交換の心配ごと、装置に預けてしまう選択です。
ドライアイスの入手方法と価格相場

個人が確実に買えるルートは氷屋・製氷店(1kgあたり500〜800円)、ペット葬儀社経由、ネット通販(3kgで2,500円前後)の3つです。スーパーやコンビニでは購入できません。
| 入手先 | 価格の目安 | 特徴・注意点 |
|---|---|---|
| 氷屋・製氷店 | 1kg 500〜800円 | 当日入手できる最速ルート。営業時間が短い店もあるため、電話で取り置きを |
| ペット葬儀社 | プランに含む場合と実費の場合あり | 手配ごと任せられて確実。安置が長引きそうなら早めに相談を |
| ネット通販 | 3kg 2,500円前後 | 日時指定可。ただし到着まで最短でも半日〜1日。クール便配送かを確認 |
| スーパー・コンビニ・ホームセンター | — | 販売なし(超低温の保管設備が必要なため) |
急ぎのときは、まず近隣の氷屋さんへ電話を。業務用として通年扱っている店が多く、取り置きを頼めば当日中に受け取れます。ホームセンターには基本的に置いておらず、探し回ると時間だけが過ぎてしまいます。東京都内の具体的な購入先は「東京でペットの遺体安置用ドライアイスが購入できる店舗5選」にまとめているので、都内の方はそちらをどうぞ。
通販で選ぶときは、ブロック・スライス・ペレットといった形状表記を確認し、ブロックかスライスを選んでください。午前中の注文で当日発送に対応する業者もあるので、締切時間もあわせて見ておくと確実です。
ただし通販は日時指定ができる反面、届くまで最短でも半日〜1日かかります。その間は保冷剤や氷をタオルで包んで当て、時間をつないでください(応急処置の章で後述します)。店頭で買う場合の持ち帰りには、クーラーボックスか発泡スチロール箱があると安心です。
安全に使うための注意点|素手NG・換気・密閉厳禁
ドライアイスの事故は凍傷・二酸化炭素による酸欠・破裂の3種類に集約されます。裏を返せば、「素手で触らない・部屋を締め切らない・密閉しない」の3原則で全部防げるということです。
素手で触らない(凍傷)
マイナス78.5℃の表面に素手で触れると、数秒で凍傷になります。とくに危険なのが濡れた手。水分が瞬間的に凍って皮膚が表面に貼り付き、無理に離すと皮膚を傷めます。乾いた軍手か厚手の革手袋、なければトングや火ばさみを使ってください。
部屋を締め切らない(換気)
気化した二酸化炭素は空気より重く、床の近くに溜まります。締め切った狭い部屋に長時間いると、頭痛やめまいが起きることがあります。安置している部屋は1日に数回、窓を開けて空気を入れ替えてください。ご遺体と同じ部屋で寝る場合は、就寝中も窓を数センチ開けておくと安全です。床に近い高さで過ごすほかのペットや小さなお子さんは影響を受けやすいので、なおのこと注意を。
車で運ぶ・保管するときの注意
持ち帰りの車内も同じ理屈です。トランクよりも空調の届く後部座席側に置き、窓を少し開けて走ってください。自宅での保管はクーラーボックスが基本ですが、フタは完全にロックしないこと。ペットボトルや密閉タッパーに入れるのは、破裂の危険があるため厳禁です。購入後の保存方法や昇華を遅らせるコツは「ドライアイスでペットの遺体を綺麗に保とう!安置の仕方について解説」で詳しく扱っています。
使い終わった・余ったドライアイスの処分
処分はいちばん簡単で、換気のよい屋外やベランダに置いて自然に気化させるだけです。数時間から半日で跡形もなく消えます。やってはいけないのは、シンクやトイレに流すこと。排水管が急激に冷やされて破損する恐れがあります。ゴミ袋に入れて出すのも、収集までの間に袋が膨らむため避けてください。置き場所は、お子さんやほかのペットの手が届かない高さか、屋外の日陰が安心です。
ドライアイスがすぐ用意できないときの応急処置
手元にないときは、保冷剤か氷で時間をつなぎます。冷却力は劣っても、「何もしない」との差は歴然です。
- 保冷剤:強冷タイプでも表面温度はマイナス16℃程度で、効果の持続はおよそ6時間。多めの個数を用意し、冷凍庫の予備とローテーションさせる
- 氷:もつのは2〜3時間が目安。結露で体を濡らさないよう、ポリ袋に入れてからタオルで包む
- 部屋の環境:エアコンを最低温度に。直射日光を避け、家の中でいちばん涼しい部屋に安置する
保冷剤だけで乗り切らざるを得ない場合の当て方や交換頻度は「ペットの死後に遺体を美しく保存するには?保冷剤の正しい使い方」で個数まで具体的に説明しています。
よくある質問
Q. ドライアイスはペットの体のどこに置けばいいですか?
A. お腹(下腹部)が最優先です。新聞紙とタオルで包んだドライアイスをお腹に沿わせ、背中側からも挟むと体の中心まで冷えます。頭のまわりに添える場合は、お顔に直接触れさせないでください。
Q. 猫1匹にはドライアイスが何kg必要ですか?
A. 1〜2日あたり5kg前後が目安です。1〜2kgの塊を2〜3個に分けて、お腹・背中・頭に配分すると安定して冷えます。夏場は1.5倍を見込んでください。
Q. ドライアイスはどのくらいもちますか?交換の目安は?
A. むき出しなら数時間、タオルで包んで箱に入れた状態で1〜2日が補充の目安です。表面の白い霜が消えて塊が小さくなっていたら冷却力が落ちています。残った塊に新しい分を継ぎ足してください。
Q. 保冷剤だけで安置できますか?
A. 冬場の2〜3日程度なら対応できますが、夏場はこまめに交換しても1〜2日が限界と考えてください。保冷剤はマイナス16℃程度・約6時間しかもたず、頻繁な交換が前提になります。ドライアイスが届くまでのつなぎ役と位置づけるのが安全です。
Q. 発泡スチロールの箱は必要ですか?
A. 必須ではありませんが、あるとドライアイスのもちがはっきり変わります。手に入らなければ段ボール+毛布でも代用できます。ただしフタの密閉は厳禁。気化した二酸化炭素の逃げ場を必ず残してください。
まとめ|「包んで・挟んで・切らさない」

ドライアイスでのご安置は、この3つに尽きます。新聞紙とタオルで包み、お腹を中心に背中と挟んで当て、白い霜が消えたら継ぎ足す。それだけで、火葬の日まできれいなお姿を保てます。
危険物ではありますが、覚える注意点は素手・換気・密閉の3つだけ。ここまで読んだ方なら、もう慌てずに手を動かせるはずです。冷却の段取りが整ったら、あとの時間はそばで過ごすことに使ってください。それがいちばんの供養になります。
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