ドライアイスの遺体への当て方は?愛するペットとのお別れの前に知っておきたいこと
亡くなったペットの遺体を安置するときには、腐敗をおさえるため、温度が上がらないように処置をします。
しかし、ドライアイスは便利であると同時に、取り扱いに注意が必要なものでもあります。
今回は、ドライアイスによる遺体安置の方法と注意点について解説します。
大切な家族ときれいな姿のままお別れするためにも、ぜひ参考にしてください。
ドライアイスの遺体への当て方とは?ペットの遺体の保存方法
ドライアイスはー78.5度というとても低い温度を持つ、固形化された二酸化炭素です。
これを遺体のそばに置くことで、温度を低く保ち、腐敗の進行をおさえる。
それが、ドライアイスを遺体安置に利用する理由です。
ドライアイスの遺体の当て方や置く場所
安置のためにはやみくもにドライアイスを置けばいいというものではありません。
優先的に置く場所があり、それは主に、遺体の背中とお腹、そして頭です。
これらの箇所は死後も体温が下がりにくく、腐敗が早く進行する箇所です。
頭部
空気は冷たいと重くなるため、ドライアイスの冷気も基本的には下方へと流れます。
遺体の上に置けると効率的ですが、頭部は丸くペットによっては耳などもあるため難しくなります。
そんなときは、頭頂部や首元に添えるように置くといいでしょう。
薄手のタオルや脱脂綿で包んで、ドライアイス本体が直接体に触れないように置いてあげてください。
ただし、小型のペットであれば、背中側に添えたドライアイスでカバーできることもあります。
ペットの体の大きさに応じて、置き方は変えましょう。
背部
内臓がある胴体部分は体温が下がりにくいうえに胃酸やガスもあり、腐敗が早く進行します。
そのため、背中とお腹にドライアイスを置いて温度を低くしてあげることは、腐敗をおさえる大きな助けになります。
しかし、棺のサイズや遺体の姿勢によっては、手足である程度の場所が確保されるお腹側と異なり、背中側にはスペースがないこともあるかもしれません。
そんなときは、棺や箱の蓋をすることで冷気を充満させて、全体を冷やすことができます。
溶けたドライアイスは、気体の二酸化炭素になります。
棺や箱は密閉せず、少し開けておきましょう。
腹部
臓器が多く肌もやわららかいお腹は、もっとも腐敗しやすい箇所です。
ドライアイスの量が足りない、あるいはスペースが少ないというときには、優先的にお腹を冷やしましょう。
背中側に近い内臓もあるため、お腹側と背中側に置いて、挟むように体を冷やすのが好ましいです。
姿勢の都合でお腹に添えられないときには、お腹の上に置くのも手でしょう。
ただし、ドライアイスは極端に低温で、気化によって小さくもなります。
遺体が凍傷を起こさないように、取り扱いには注意しましょう。
ドライアイスでペットの遺体を安置するために知っておきたいこと
ドライアイスはケーキやアイスなどを購入した際に付けてもらうこともあり、意外と身近なものです。
しかし、遺体を安置するためにまとまった量を扱うとなると、注意しなければいけない点が出てきます。
・溶けた際、昇華して二酸化炭素になる
・きわめて温度が低い
これらの性質が、通常の氷や保冷剤とは異なり、ドライアイスの扱いを困難にしている点です。
ペットの安置に使用する前に、まずはドライアイスの注意点についても知っておきましょう。
購入できる場所
スーパーやコンビニといったお店では、ドライアイスは販売していません。
常に昇華し続けるドライアイスは、在庫として抱えておくことが難しいためです。
遺体の安置に使えるほどのまとまった量を購入するとなると、やはりインターネット通販が手軽でしょう。
ペットの体重や体格によって必要な量は変わりますが、参考にできる図説を載せているショップもあります。
また、近所に葬儀屋があれば、ドライアイスを販売していないか確かめてみるのもいいでしょう。
素手はNG!ドライアイスはタオルや紙に包んで
ドライアイスは、ー78.5度というきわめて低い温度の物体です。
そのため、素手で持つと急激にその部位が冷やされて血行不良を起こし、それが続くと凍傷を引き起こしてしまいます。
触れる際には、必ず手袋やタオルなどを使って、直接触らないようにしましょう。
これは、遺体のそばに置くときも同様です。
薄手のタオルや脱脂綿、あるいは付属の紙状ドライアイスパックを使用して、遺体が凍傷を起こさないように置きましょう。
二酸化炭素中毒に要注意
ドライアイスは固体化した二酸化炭素で、溶けると気体に戻ります。
少量ならば問題はありませんが、遺体を安置するためには大量のドライアイスを必要とします。
いつの間にか安置していた部屋に二酸化炭素が充満していて中毒になってしまった、なんてことが起こらないように、定期的な換気をおこないましょう。
ペットのサイズごとの必要な量と費用の目安
安置に必要なドライアイスの量は、ペットの大きさによって変わります。
以下は、ドライアイス1個が2.5キログラムとした場合に、冷凍産業会社の提示する一例です。
・小型ペット(体重10キログラム未満)ドライアイス2個
・中型ペット(体重10~20キログラム)ドライアイス4個
・大型ペット(体重20キログラム以上)ドライアイス4個以上 大きさに応じて増やす
一度入れたドライアイスは、大きさと状態によりますが、長ければ2日は持つとされています。
安置期間によっては交換が必要になります。
購入するときには、少し多めに用意しておきましょう。
ドライアイスで遺体を保冷する安置する前の準備
遺体の安置は、とりあえずドライアイスを置けばいいというものではありません。
それ以前に、いくつか踏んでおいたほうがいい手順もあります。
ここからは、ペットの遺体の安置をする方法について、順を追って解説します。
手足をやさしく折り曲げる
遺体を棺や箱に入れる際には、姿勢を整えたほうがきれいに収まります。
しかし、死亡した生き物には死後硬直という現象が起こります。
これは体の関節が硬直してしまう現象で、遺体の姿勢を変える妨げになってしまいます。
そのため、ペットの死後はなるべくすみやかに姿勢を変えてあげましょう。
手足を折りたたんだ、眠っているような姿勢が理想です。
目や口が開いていれば、しっかりと閉じてあげるのも忘れずに。
タオルなどで体を綺麗にする
ペットは弱ってくると毛づくろいができなくなったり、トイレの失敗が増えたりして、体が汚れがちになります。
亡くなってしまったら、そうして汚れた体も綺麗にしてあげましょう。
ペット用のウェットシートやタオルで汚れを落としたら、ブラシで丁寧に毛並みを整えます。
また、体が弛緩することで尿やよだれなどがこぼれ出てくることもあります。
体を拭いてあげているあいだも棺に入れてからも、下にはタオルやペットシートを敷いておくといいでしょう。
まとめ
ドライアイスは便利ですが、思わぬケガにつながることがあります。
取り扱いの際には注意事項をよく読んで、手袋やタオルなどを使い、直接触らないようにしてください。
飼い主さんにとっては苦しい時間になりますが、冷静に適切な処置をおこない、大切なペットを見送れるようにしましょう。