置く場所や保存期間は?ペットが亡くなった時のドライアイスの使い方
どんなに大切なペットもいつかはお別れしなくてはなりません。
ペットが亡くなった場合も人間と同じように葬儀や火葬をする飼い主さんが多いと思いますが、葬儀や火葬まで自宅で安置・保存する必要があります。
その際に腐敗を遅らせるために使いたいのがドライアイスです。
ペットを生前に近い状態で安置・保存する方法や手順、保存できる期間からドライアイスの入手方法まで詳しく解説します。
ペットが亡くなった時のドライアイスの正しい使い方をガイド
まずは、遺体の腐敗を抑えるためのドライアイスについてご紹介します。
遺体を冷やすアイテムとして手軽なのは保冷剤ですが、ドライアイスと比べると冷却力はかなり劣ります。
冷やすために最適なアイテム、ドライアイスの正しい使い方を解説していきます。
ペットが亡くなったら知っておきたいドライアイスの基礎知識
そもそもドライアイスとは何なのか?
生ものやアイスクリームなどを購入した際に鮮度を保つために使われることが多いドライアイスは、固形の二酸化炭素で-78.5℃の超低温です。
溶ける際には液状にはならず、直接気体になって(昇華)炭酸ガスを発生しますが、この時元の体積の約750倍になります。
また、空気中では白煙が発生します。
ペットの遺体安置にドライアイスが有用な理由
ペットの遺体を葬儀・火葬まで良い状態で安置・保存するためにドライアイスが適しているのはその冷却能力にあります。
一般的な保冷剤はほとんどが0℃なのと比べ、ドライアイスは-78.5℃の超低温なので数倍冷却能力が高くなります。
遺体を効率よく冷やすことができ、冷却力も長続きするため取りかえる手間も少なくて済みます。
取扱時に注意が必要で手に入りにくいというデメリットはありますが、ペットの遺体保存には欠かせないアイテムです。
ドライアイスを購入できる場所
保冷剤はスーパーやホームセンターでも販売されているので比較的簡単に手に入ります。
一方ドライアイスは、スーパーなどでは販売されておらず気軽に購入することはできません。
ドライアイスを購入できるのは製氷会社や町の氷屋さんに限られています。
近くに販売する業者があるなら直接購入すればその日に手に入りますが、スーパーなどのようにどこにでもあるというわけにはいきません。
もちろん、注文することで配送してもらえるので早ければ即日、遅くとも1~2日で到着します。
また、Amazonや楽天といったオンラインショッピングサイトでも販売されているので、どなたでも購入可能です。
ドライアイスを置く場所・当て方
それではドライアイスを使って遺体を冷やす方法を具体的に紹介していきます。
ペットに限らず生き物は、生命が尽きてしまうと腐敗が始まります。
温度や湿度、細菌の数といったことから内臓が最も速く腐敗が進みます。
そのため、内臓を冷やすことが腐敗の速度を遅くするための最も良い手段になります。
ペットの遺体のお腹と背中の2カ所にドライアイスを当てるのが効率的な冷やし方です。
少しでも溶けるのを防ぐためタオルなどの布や新聞紙などの紙を巻いておくと長持ちします。
ドライアイスで遺体を保冷できる時間・期間
ドライアイスを使うことで遺体の腐敗を遅らせることができますが、ずっと保存できるわけではありません。
ペットの体重や体格に合った量のドライアイスを使うことで24時間ほど遺体を冷やすことができます。
だいたいの目安ですが小型犬なら約3kg、中型犬で5kgほど、大型犬であれば7~10kgのドライアイスが必要です。
季節や安置する環境によってもやや前後しますが、この量を毎日取り換えることで、7~10日は良い状態で保存が可能になります。
ドライアイスを扱う際の注意点
保冷剤や氷は比較的簡単に安全に使うことができますが、ドライアイスは取り扱う際に注意が必要になります。
-78.5℃という超低温であるがために、素手で触ると凍傷になる恐れがあります。
厚手の手袋をつけるか、トングや火ばさみなどの器具を使うことをおすすめします。
また、ペットの遺体を冷やす際にもドライアイスを直接遺体に当てるのではなく、布や紙などを巻いてから置くようにしましょう。
直接接触すると遺体の皮膚が損傷したり、体毛がくっついてしまったりの恐れがあります。
さらにドライアイスが気化(昇華)する際に発生する二酸化炭素で、飼い主さんが中毒になってしまうこともあるので注意が必要です。
ペットが亡くなった後のドライアイスを使った遺体の安置方法
ドライアイスの用意ができたら、実際にペットの遺体を安置する方法を見ていきましょう。
手順としては以下のようになります。
遺体の体勢を整える
① 遺体の体勢を整える
② 遺体をきれいに清拭する
③ 遺体を棺や箱に納める
④ ドライアイスを配置する
ひとつずつ詳しく解説します。
体勢を整える
ペットが亡くなる際には手足が伸びていたり、口や目が開いていたりすることがあります。
そのままの体勢では納棺できないばかりか、飼い主さんも悲しい気持ちになってしまうかもしれません。
そこで手足を折り曲げて、口や目を閉じてあげることが必要になります。
ただ、死後2時間ほどを経過したころから遺体が硬くなる死後硬直が始まります。
遺体が硬くなってしまうと、関節を折り曲げるのが難しくなるので死後硬直が始まる前に体勢を整えてあげましょう。
もし硬くなってしまっていたら無理に折り曲げたりせず、死後硬直が解け始める半日~1日ほど待ってから体勢を整えてあげましょう。
清拭する
遺体は出血していたり排泄物や体液が流れ出したりしていることがあります。
丸まって寝ているような状態に体勢を整えたら、遺体をきれいにしてあげましょう。
濡らしたガーゼやタオルなどで遺体を拭き清めてあげ、ブラシで毛並みを整えてあげましょう。
もし体液や排泄物が流れ続けるようであれば、該当箇所に脱脂綿などを詰めてあげましょう。
例えば事故などで遺体が損傷していたり、手術痕が残っていたりするようならばその部分を覆っておけば、飼い主さんの気持ちも落ち着くのではないでしょうか?
納棺する
以上で遺体が良い状態に整いました。
続いては遺体を葬儀や火葬まで安置・保存するための入れ物、棺などに納めておきます。
ペット専用の棺などを購入すれば問題なく安置できますが、例えば段ボールの箱や発泡スチロールの箱などで代用しても問題ありません。
遺体よりもやや大きめの物を用意し、体液や排泄物の沁み出しに備えて底にペットシートやビニールシートを敷きましょう。
その上に毛布などを敷いて遺体をそっと横たえてあげましょう。
保冷する
最後に遺体の腐敗を抑えてくれるドライアイスを配置しましょう。
体重や体格に合わせた量のドライアイスを用意し、それを2等分してお腹と背中の部分に置いてあげましょう。
ドライアイスが直接遺体にあたらないように、布や紙を巻いておくことも忘れないようにしましょう。
安置する部屋はできるだけ室温を低くして直射日光が当たらないようにすることも大切です。
またお花や、ペットが好きだったおやつやおもちゃを供えてあげるのもいいですね。
まとめ
ペットが亡くなった時に使いたいドライアイスについてご紹介しました。
大切だったペットが亡くなるのはとても悲しいことですが、今までの感謝と慈しみを込めてきちんと見送ってあげるのは、飼い主さんがペットにしてあげる最後の愛情ではないでしょうか?