大切なペットが亡くなったら…正しい安置方法や温度・期間などを解説
家族同様に暮らしてきた大切なペットが亡くなったら飼い主さんは悲しみに暮れることでしょう。
それでも、ペットをちゃんと見送ってあげることが飼い主さんの責務であり、かわいがっていたペットへの最後の愛情表現になるかもしれません。
亡くなったペットの正しい安置方法や保存の方法や手順、その期間などについて詳しくご紹介します。
【悔いのないお別れのために】ペットの遺体の正しい安置方法・手順とは
大切だったペットとのお別れを悔いのないようにするためには、きちんと安置・保存をおこなってあげる必要があります。
それを怠ると、ペットの遺体が腐敗で劣化したり苦しんだ姿勢のまま火葬しなければいけなくなったりしてしまいます。
正しい安置・保存の手順の概要は、
①必要な物を用意する
②体制を自然にする
③遺体の清拭する
④棺や箱に納める
⑤遺体を保冷する
といったことです。
ひとつずつ詳しく解説します。
安置に必要な物を用意する
まずは、ペットの遺体を安置・保存するために必要な物を用意します。
清拭に必要な物としては、タオルやティッシュ、ガーゼや脱脂綿などです。
安置のための入れ物、ペット用の棺や段ボール箱、発泡スチロールの箱を用意します。
そして、遺体を冷やすために保冷剤やドライアイスが必要です。
棺や箱に納める際の毛布やタオルなども用意しておきましょう。
それ以外にも、遺体のそばにお供えするお花やペットが気に入っていたオモチャやおやつなどがあると良いですね。
死後硬直前に自然な体勢にしてあげる
人間もペットも、みんなが安らかな顔で死を迎えるわけではありません。
苦しんだりもがいたりすることもあるでしょう。
目を見開いていたり手足を突っ張っていたりするかもしれません。
そういった場合には、自然な体勢に戻してあげると良いのですが、遺体は死後2時間ほどすると死後硬直が始まり硬くなってしまいます。
そうなる前に、目が開いていたらそっとまぶたを閉じてあげ、手足が伸びていたらやさしく折り曲げてあげましょう。
もし死後硬直が始まっていて関節を動かしたりすることが難しかったら、無理に折り曲げたりせずに、硬直が解けるのを待ちましょう。
死後半日から1日経つと死後硬直が解け始めますので、それを待ってからやさしく体勢を整えてあげましょう。
丸まって眠っている状態が自然でおすすめです。
遺体を清める
遺体が自然な状態になったら、ペットをきれいにしてあげましょう。
出血したり排泄物や体液が流れ出たりしていることもあるので、そういった箇所を濡らしたタオルやガーゼなどできれいに拭いてあげましょう。
もし続けて流れ出ているようであれば、該当部位に脱脂綿などを詰めておきましょう。
また、ブラシで毛並みも整えてあげましょう。
できるだけ生前の可愛かった状態に近づけてあげることで、飼い主さんの気持ちも安らぐのではないでしょうか?
棺や箱に納める
体勢が自然になり遺体がきれいになったら、安置するための器に納めてあげましょう。
ペット用の棺や、無ければ段ボールや発泡スチロールの箱でも大丈夫です。
万が一排泄物や体液が流れ出てもいいように、一番下にペットシートやビニールシートを置き、その上に毛布などを敷いて遺体を横たえましょう。
このあと、遺体保存の処置として保冷剤やドライアイスを遺体のそばに配置しますので、次項でその“遺体の保冷”について詳しく解説します。
保冷する
遺体は死の瞬間から腐敗が始まります。
腐敗が進んでしまうと、遺体は腐臭がしたり虫が発生してしまったりといった困ったことが起こります。
この腐敗を抑制するには、冷やすことが肝心です。
安置する部屋の温度を低く抑えるだけでは、腐敗のスピードを遅らせることはできません。
そこで、保冷剤やドライアイスといったアイテムを使って遺体をダイレクトに冷やす必要が生じます。
次項では冷やす前の、遺体を安置する際の基礎情報をご紹介します。
ペットの遺体の安置にかんする基礎知識
室温が高いと腐敗が進むのは必然で、「遺体の安置は冷暗所」が最低限のルールです。
カーテンなどで遮光し直射日光が当たらないようにして室温を低めに抑えた部屋に、ペットの遺体を納めた棺や箱を安置します。
保冷剤とドライアイスどちらがいい?
ペットの遺体を保存・安置するには腐敗の進行を抑える必要がありますが、そのために遺体を冷やすアイテムが保冷剤やドライアイスです。
では、保冷剤とドライアイスどちらが遺体の冷却に適しているのでしょうか?
保冷剤はスーパーやホームセンターなどで販売されていて、比較的容易に手に入りますが、ほとんどは「-0℃」タイプで、冷却力はそれほど強くありません。
一方ドライアイスは、約-78.5の超低温でかなり長時間しっかり冷やしてくれます。
ただ、製氷業者や葬儀社など限られた場所でしか販売されておらず、保冷剤のように簡単に手に入る物ではありません。
しかし、遺体の保存に関していえばドライアイスが一番適した冷却アイテムだといえそうです。
安置に適した温度や場所は?
ペットの遺体を安置するのは「冷暗所」と先程述べましたが、遺体安置に適した場所についてもう少し詳しく解説します。
遺体を安置する部屋は室温を低く抑えるため夏場ならエアコンをやや強めにして、冬場は暖房を控えます。
適した温度としては18~20℃ほどのやや肌寒いくらいが目安です。
腐敗の原因となる細菌が活発に活動する温度が30~40℃とされていますが、遺体の内臓の温度は外気温よりも高くなるので室温はそれより低めに抑えておきましょう。
直射日光が当たらない場所が良いのは、同じように温度が高くならないための措置です。
冬や夏など季節によって安置できる期間は違う?
ペットの遺体を自宅に安置しておける期間は季節や環境、遺体の状態などで異なりますが、夏場であれば1~2日、冬場でも2~3日がその限度です。
もちろんこれは遺体を冷却する処置を施さない場合なので、ドライアイスなどを使用して冷やすことで腐敗の進行を遅らせることでこの期間はもう少し長くなります。
ペットの体重に見合った量のドライアイスを使用し、昇華した際に交換すれば最長で7~10日保存・安置することができます。
冷蔵庫や冷凍庫で安置は可能?
ペットの遺体は冷やすことでその保存・安置期間を長くすることが可能ですが、冷蔵庫や冷凍庫で保存することは可能なのでしょうか?
もちろん保存は可能ですし一定の温度に保てるという点ではむしろ適しています。
ですが、この方法の一番のデメリットは衛生面にあります。
食品を保存する冷蔵庫や冷凍庫にペットの遺体を安置することは、菌の繁殖という点で安全とはいい難い問題があります。
たとえば小鳥やハムスターといった小動物なら厳重に密閉すれば衛生面でも安心できるかもしれませんし、食品の保存に使用していない冷凍庫や冷蔵庫を遺体安置用に使用するのであれば問題はありません。
まとめ
亡くなった大切なペットの遺体を保存・安置する正しい方法や手順、そして保存の期間やその際の温度などについてご紹介しました。
葬儀・火葬というお見送りの瞬間まで、きれいで可愛かった生前のままに近い状態で一緒にいられるようにするのが、飼い主さんの最後の愛情かもしれませんね。